こんにちは。ZEROです。2025年大阪・関西万博の開催が決定しましたね。
万博とは
「万博」とはざっくり言うと、 地球規模の様々な課題に対して、世界各地から英知を集め、交流を通して解決を加速しよう!という活動です。
世界中の最新テクノロジーが持ち寄られ、間近で見ることが出来、大人はもとより、将来を担う子供たちも科学技術に触れ合える、またと無い良い機会となります。とても楽しみですね。
ただここで私はとても気になっている事があります。
それは、2025年の大阪万博でお披露目できそうな、
日本の最新技術って何があるのかな???
という事です。
今までの万博を振り返ると、例えば大阪万博(’70)で公開された「ワイヤレステレフォン」など、 「こんなSF映画やマンガでしか見ないような未来的な技術って本当に製品ベースで実現できるの?」という技術やサービスが、その時々の万博で「初公開」されてきました。
万博で初公開された商品、サービス
1970年 大阪万博
- ワイヤレステレフォン
- 電気自動車
- 動く歩道
2005年 愛知万博
- ICチップ入り入場券
- AED
- ドライミスト
2025年 大阪万博
- ???
そこで、2025年大阪万博に出展してほしい日本の最新技術 を調べてみました。
2025年大阪万博に出展すべき日本の最新技術 7選(順不同)
(1) BMIロボット
(概要)BMIはBrain Machine Interfaceの略で、頭(Brain)で考えただけで操作できる機械(Machine)との接点(Interface)を持つロボットという意味です。
(現状)2019年、日本の内閣府とATR研究所が推進する研究プログラム(ImPACT)で、両手を動かしているにもかかわらず、頭で考えるだけで3本目の手(ロボットハンド)を操作できたという世界初の研究成果が報告されています。
両手を動かしながら、頭で考えるだけで3本目の手(ロボットハンド)を操作する実験映像。
BMIは従来、使用者が静止して強く集中する必要があることから、用途が限られていました。
出典: 科学技術振興機構(JST)
今回、人が自分の両腕も使いながら、脳でロボットアームを操作するBMI手法を世界で初めて実現しました。
(今後)この技術が進むと、人のマルチタスク能力を全般的に向上できる可能性が開けたり、老化によって低下するマルチタスク能力を防止する研究につながることが期待されています。
(2) パワードスーツ
(概要)日本だとパワードスーツという名称が一般的のようですが、 英語だとpowered exoskeleton( 強化外骨格 )と呼ぶようです。
パワードスーツは、スーツ装着者が手足を動かそうと考えると手足の筋肉に発生する筋電を読み取り、アクチュエータ(駆動部)を動かして、装着者の手足の動作を補助する仕組みとなっています。
(現状)
日本では、
・介護する側の動作を補助する「介護支援」
・建築現場等で重量物を運搬を補助する「作業支援」
を行う機種が、下記のような様々なメーカーや企業が開発を行っており、介護・医療・作業機器として既に一般の現場での実証導入や実用導入され始めています。
- CYBERDYNE社の「HAL」
- イノフィス社の「マッスルスーツ」
- ATOUN社の「パワードウエア ATOUN MODEL-Y」
- 本田技研工業(HONDA)の「歩行アシスト」などなど
(今後) 今後の課題としては、
・「自立支援用」として、加齢や病気による運動能力低下を補う機種の強化
・「作業支援用」の為の防水・防塵機能の追加
・装着のし易さや装着感の良さ、稼働時間の長時間化といった、「使い勝手の向上」 といった機能性、使用性の向上に加えて、現場での定着の為には、使用者の経済的負担の軽減ができるようにコスト削減も重要な課題となっています。
(3) 毛包再生医療による脱毛症治療
(概要)脱毛症に対して、外用薬や内服薬による治療が行われてきましたが、その効果は永続性が無い為、それに代わる治療方法として自家毛包の再移植という方法が近年考案されました。
しかし、従来の再移植では毛髪総数は増加しない、という課題があった為、患者満足度を高める障害となっていました。
(現状)この課題を克服するため、2018年6月4日に、国立研究開発法人理化学研究所ほか は、
『再生医療分野である「毛包器官再生による脱毛症の治療」に向けた臨床研究の前段階である非臨床試験を開始しました。』 出典:http://www.riken.jp/pr/topics/2018/20180604_1/
との発表を行いました。
治療法の有効性と安全性を確認するステップは下記の1⇒2という2段階ですから、上記発表は1のステップが開始されたという事を意味します。
◆治療法の有効性と安全性を確認するステップ
1. 動物によって有効性と安全性を確認するのが「非臨床試験」
2. 人間によって有効性と安全性を確認するのが「臨床試験」
(今後)非臨床試験の結果を受けた臨床試験での(本当に効果があるか?といった)有効性と(腫瘍化しないか?といった)安全性の確認に加えて、費用の面でも一般で利用可能なレベルに抑えられるか、という事が今後の課題です。
(4) IPS細胞による治療
(概要) IPS細胞は、下記(a)(b)の機能を持つ人工多能性幹細胞の事です。
英語「induced pluripotent stem cell」の頭文字を取り「iPS細胞」と呼びます。
(a) 様々な組織や臓器の細胞に分化する能力
(b) ほぼ無限に増殖する能力
・IPS細胞を病気や怪我で失われた細胞に代えて移植する事で、失われた機能を回復するといった治療(再生医療)
・難病患者の方の細胞からIPS細胞を作成・増殖して、どの薬が効くかを何千回も試す事で治療薬の発見を劇的に加速(創薬)
といったような分野でIPS細胞は活用されていくと考えられています。
(現状)
特に直近では、IPS細胞由来の角膜移植に成功したり、パーキンソン病の治療の為の治験を2年半の計画で開始したり、IPS細胞由来の心筋細胞を心筋症患者さんに適用する研究申請を行ったりと、着実に実績を積み上げている状況です。
(今後)臓器そのものの再生というさらに難易度の高い治療方法の確立と、IPS細胞の品質を保ったまま製造コストを下げる方法の確立が今後の重要な課題です。
(5) 呼べば自走して来るバイク
(概要)2017年10月に開催された「第45回東京モーターショー」でヤマハ発動機が発表した概念検証実験モデルの「MOTOROiD」バイク正面に装備されたカメラで乗員の手振りを認識し、呼べば自立して近寄って来る等、もはや機械生命体といった存在。
(下記動画参照)
(現状)2018年は、ドイツのRED DOTのLuminary Award(最高賞)や、アメリカ・インダストリアル・デザイナー協会(IDSA)のGOLDなど、国際的なデザイン賞を取りまくっています。
(今後)MOTOROiD自体はコンセプトモデルであるため、様々な安全性の確認の為のテストなどを省いている為、それらを行いながら、今後の進め方を検討するようです。
『モトロイド』は生産車ではなく、『観念検証実験機』というかたちなので、実車化に伴うテストを大幅に省略しています」
出典:乗り物ニュース ヤマハ「モトロイド」は「生きもの」たるか 開発者に聞く、その目指すところとは https://trafficnews.jp/post/79716/4
(6) 自動運転
(概要)日本政府が自動運転に関して、米国の非営利の標準化機構であるSAE Internationalの定義(下記【表1】)を採用している為、日本では、自動運転というと、市販車に装備済の自動ブレーキといった単機能を自動化した「運転支援」のレベル1から、目的地を指定すると自動車自体が主体的に運んでくれる「完全運転自動化」のレベル5までの5段階があります。
(現状)日本で現在広まっている自動ブレーキは加減速つまり、縦方向の車両運転制御のサブタスクに該当しますので、レベル1となります。
2019年時点の日本では道路交通法やジュネーブ条約の制約をうける為、実用化という意味ではレベル2までしか実現する事ができないといわれています。
しかしながら、行動実証実験に限定すれば、現行の法律や条約でもレベル4まで公道で実施可能です。
実際、日本各地で官民をあげて様々な自動運転実証実験や法的、運用的環境整備が精力的に行われており、上記法律が開発の阻害要因にまではなってはいないと思われます。
自動運転実験の具体例
ラストマイル自動運転: 最寄駅等と最終目的地を結ぶ「無人自動運転による移動サービス」
トラックの隊列走行: 先頭車両のみ有人で後続が無人のトラック隊列走行を自動運転で実現
道の駅等を拠点とした自動運転サービス: 豪雪地帯での実証実験や、ドローンへの積替えなど新技術とも連携
除雪車の高度化: 準天頂衛星からの高精度の測位情報と高精度地図情報を組み合わせ
ニュータウンにおける自動運転移動サービス実証: 自動運転を活用し公共交通サービス実証
空港における自動運転実証実験: 空港労働力不足解消の為、自動運転による人の輸送を実証
出典: 国土交通省自動運転戦略本部
自動運転にまつわる法的、運用的環境整備の具体例
自動運転技術に対応する自動車整備・検査の高度化
自動運転における損害賠償責任や自動車運送事業への導入に関する検討
国土地理院による3次元地理空間情報基盤の整備
出典: 国土交通省自動運転戦略本部
(今後) 日本は国連の自動車基準調和世界フォーラムで議長又は副議長の立場で、議論を主導し、 着実に国際基準の策定を進めているようです。これにより、条約や法律による制約が取り除かれる事が期待されます。
そうなれば、実証実験の実績を積み上げも相まって、大阪万博の年までに下記のような自動運転サービスを全国に普及していけるのではないでしょうか。
2020年(高速道路)自動運転可能な自動車の市場化
(限定区域【過疎地等】)無人自動運転移動サービス(レベル4)の提供
2025年(高速道路)完全自動運転システム市場化と高度安全運転支援システム普及
(限定区域)無人自動運転移動サービス(レベル4)の全国普及
(物流) 自動運転システムの導入普及
(7) 量子ゲート型コンピュータ
(概要)量子ゲート型コンピュータとは、汎用の計算をスーパーコンピューターよりもずっと高速に行わせることが可能と言われています。
このタイプのコンピュータが発達「してしまう」と、従来スーパーコンピュータでも現実的な時間では解けない為に安全だった、RSAといった公開鍵暗号が「現実的な時間」で解けてしまう事になり、金融機関など公開鍵暗号化技術に頼ってセキュリティーを保ってきた社会インフラの安全性が低下し得てしまうと日銀レビューでは警鐘を鳴らしています。
米国はもとより、欧州でも「耐量子計算機暗号」への移行が急ピッチで進行中です。
もちろん同様に日本でもその導入は急務となっています。
米国連邦政府は、RSA 暗号を数時間で解読でき る量子ゲート型コンピュータが 2030 年頃までに 実現する可能性があるとの見解を示している。
出典:日銀レビュー「 量子コンピュータが金融サービスのセキュリティに 与える影響とその対策 」https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/data/rev18j04.pdf
(中略)
現在使用してい る RSA 暗号等を、2026 年頃までに耐量子計算機暗号へ移行する計画を発表している
(現状)2019年時点では、アメリカが1000億円、中国は1兆円を量子ゲート型コンピュータの開発に投資するといわれており、米企業のGoogle、IBM、インテル、マイクロソフトや中国の開発は日本に比べて先行している状態にあります。
日本も文部科学省が8億円の事業として、理化学研究所と複数の国内企業が組んで同じく量子ゲート型コンピュータを開発しようとしていると報道されています。
研究は文部科学省の事業として実施する。同事業は年約8億円
出典:日本経済新聞「 理研・NTTなど、量子コンピューター開発へ 文科省事業 」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35511580Z10C18A9X90000/
(今後)「量子ゲート型コンピュータの開発費」としては海外と比べると100倍以上!?の差があり、巻き返しは困難かもしれませんが、独自の工夫で是非とも2025年の万博で公開できるほど開発を進めて欲しいと思います。
いかがでしたでしょうか。
順不同で、2025年大阪万博に出展すべき日本の最新技術という事で、下記の7つをピックアップさせていただきました。
1. BMIロボット
2. パワードスーツ
3. 毛包再生医療による脱毛症治療
4. IPS細胞による治療
5. 呼べば自走して来るバイク
6. 自動運転
7. 量子ゲート型コンピュータ
調べ始める前に想像していたよりも開発が進んでいるもの、意外と開発が進んでいなかったもの、様々ありましたが、全体的に見ると、やはりまだまだ日本の最新技術にはスゴイものがたくさんありそうです。上でピックアップしたもののうち、どれかが出展されるのか、あるいは全く未知の何かが出展されるのか、とても楽しみです。
みなさんも万博に参加して、様々な国のアイディアに触れて、知的好奇心を大いに刺激してみてはいかがでしょうか!